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2008年12月 アーカイブ

2008年12月13日

軽荷の春旅駄菓子屋で買ふ土地の酒

軽荷の春旅駄菓子屋で買ふ土地の酒

今年の春は、急にやってきたという感じだ。東京は、昨日一昨日といきなり四月並みの陽気。いつものようにコートを着て出かけたら、汗が滲み出てきた。急な春の訪れだけに、なんだかそわそわと落ち着かない。良く言えば、浮き浮き気分である。この句も、まさに浮き浮き気分。「軽荷の春旅」という定型に収まりきれない上五の八音が、浮き浮き気分をよく表している。句集の作品配列から推測して、この句は昭和三十年代のものと思われる。酒を買ったのは「駄菓子屋」とあるが、当時のなんでも屋、よろず屋のような店だったのだろう。現在のようにしかるべき土産物屋に行けば、なんでも土地の名産が揃っているという時代ではない。つまりこの駄菓子屋で買わなかったら、せっかく見つけた土地の酒を買いそびれるかもしれないわけだ。元来、地酒とはそういうものであった。幸いにして、気楽な旅ゆえ手荷物は軽い。味なんぞはわからないが、迷わず一升瓶を買い求めたのである。おそらく、駄菓子屋のおばさんと軽口の一つや二つは交わしただろう。その素朴な気持ちよさ。酒飲みにしかわからない浮き浮きした心持ちが、心地よく伝わってくる。同じ句集に「蚕豆や隣りの酒徒に親近感」もあり、これまた酒飲みの愉しさを印象づけて過不足がない。春風のなか、どこかにぶらりと行ってみたくなった

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